天空にスラリと伸びるナツメヤシがガラス越しにも望める、「EXPO 2025 大阪・関西万博」のUAE(アラブ首長国連邦)のパビリオン。1970年の『大阪万博』の翌年に建国された(大阪万博にはアブダビ国として初参加)同国の万博への関心は高く、今回も「大地から天空へ(Earth to Ether)」をテーマに、実に万博らしい展示が楽しめます。
UAEのテーマは「大地から天空へ(Earth to Ether)」。パビリオン内には高さ最大16mにもおよぶ90本の葉軸(ラキス)の柱がそびえ立ち、オアシス空間を演出。伝統建築様式「アリーシュ」をナツメヤシの農業廃棄物と日本の木工技術を融合させて再解釈したとのこと。このナツメヤシのほのかな香りが、UAEの人々にとってどこか懐かしさを感じるものだそうです。
そして、展示では「宇宙探査」「医療の革新」「持続可能性の推進」といった、まさにUAEが挑戦し続ける未来への物語を垣間見ることができます。一見すると学術的な展示が多く(でも、万博とはそういうものですよね)、難しいかも?と思う人もいるかもしれませんが、ゲームやクイズ感覚で遊びながら学べる工夫もされているので、キッズたちも楽しそうに観覧していました。
パビリオンの奥では、3面の丸いスクリーンがスタンバイ。持続可能な漁業への取り組み、野生生物への敬意、ナツメヤシの多様な活用法、都市の日常生活の様子などが映し出されます。猛暑でぐったりした身体もリラックスさせてくれる、オアシスのようなパビリオン空間です。
そんな展示を支えるのが、7言語に対応できる若き親善大使「ユースアンバサダー」の存在です。彼らは現地での研修を受け、この物語を伝える役割を担っています。ストーリーテリングを通じて文化間の理解を深めてくれます。シャイなUAEのユースアンバサダーもいますが、気軽に声をかけてくれるとうれしいんだとか。流ちょうな日本語を話すスタッフもいるので、恥ずかしがらずに対話を楽しんで!
パビリオン入口近くには、「エシカル」「サステナブル」をテーマに、UAEを拠点とするクリエイターによるグッズもずらり。デーツのカラーから着想を得た傘(6,600円)のほか、日本の職人とのコラボから誕生したエシカル箸(6,000円)、ナツメヤシの質感や素材感をイメージしたノート(大:ベージュ・2,500円、ミニ:赤・茶・黄色・1,800円)などが並びます。
中でも人気なのが、文化遺産となっている伝統的モチーフをスキャンした女性用シャツ(各29,000円)と、90本のラキス柱のレイアウトをプリントしたトートバッグ(5,700円)。そして、1970年の『大阪万博』の記念品やスタンプをプリントしたTシャツ(各3,600円)など、万博への強い思いを表現したアイテムが評判を呼んでいます。在庫状況は現地ショップにてご確認ください。
6月末には、健康とウェルビーイング週間に合わせて、再生医療と幹細胞治療分野における第一人者ファティマ・アル・カァビー博士らを迎えたディスカッションも開催。カァビー博士は「この分野は日本だけでなく、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、誰もが興味を持っている分野です。パートナーシップを形成していくことが重要です」と力を込めました。
また、次世代を担う学生との質疑応答も設けられ、「研究の道に進んだときの気持ちを大切にし、心から夢中になれるテーマを見つけてほしい」と語りかけ、「困難にぶつかってもあきらめず、挑戦を続けることが未来を切り拓く力になる」とエールを送る場面も。「自分がやらなければ、きっと誰もやらない」という言葉は、進路や研究に迷う学生たちの心に静かに響いた様子でした。
「UAEパビリオン」公式サイト