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反町隆史さんが僕に教えてくれたこと 安藤プロデューサーインタビュー

2024.03.28

反町隆史さんが僕に教えてくれたこと 安藤プロデューサーインタビュー
26年ぶりにあのGTO(Great Teacher Onizuka)が帰ってきます。1998年の初回放送立ち上げに携わり、今回の『GTOリバイバル』も手がける安藤和久プロデューサーにインタビューしました。
―『GTOリバイバル』が放送されますね。
企画から4年がかりでようやくみなさんに見ていただくことができます。4月1日に放送されて、どんな反響があるのか。ドキドキしています。

―1998年のカンテレドラマとして『GTO』の企画が決まった経緯は?
『GTO』が放送される1年前、1997年に反町隆史さんと竹野内豊さんのW主演ドラマで『ビーチボーイズ』(フジテレビ制作)が世帯視聴率20%を超えるほど大ヒットしていました。そんな大人気の反町さんが98年のカンテレのドラマに出演を決めてくれて、それだけでもワクワクしていました。『GTO』は反町さんにとってその『ビーチボーイズ』の次の連ドラ作品になります。
当時、原作の「GTO」は少年マガジンで大人気の漫画でした。反町さんが「GTOやりましょう」と言ってくださり決まりました。
―原作「GTO」の魅力は?
鬼塚先生って、いつもはひょうひょうとしているのに、ある一瞬だけすごくカッコいいんです。そんなキャラクター設定が特に魅力的でした。反町さんが、それを見事に演じてくれました。
原作者の藤沢とおるさんは子どもに寄り添って、子ども目線で物語を書いていらっしゃる。僕は当時35歳くらいだったけれど、子どものころの気持ちを忘れかけていたのに、藤沢先生はなんでこんなに子どもに寄り添った作品をかけるんだろう。すごいなって思っていました。

家庭環境に悩む生徒の家に鬼塚が押しかけていくシーンがあります。生徒のお父さんが仕事を頑張って立派な家を建てたんだけれど、それぞれが個室を持ったことで、それがかえって心の壁になっていた家族の家です。会話がなくなった両親の部屋の間の壁を鬼塚が大きなハンマーでぶっ壊すんです。あの“壁壊し”が印象的で、スタッフもみんなそうだと言う。なら、あの一番面白いシーンを後回しにするんじゃなくって第一話でやろうよっていうことになりました。「GTO」には爽快感があるんですね。
―放送が始まるとドラマ『GTO』は多くの方に支持されましたね。
一世風靡した『ビーチボーイズ』の次にあたる、反町さん主演作品ということで、かなりプレッシャーを感じていました。周りは「あの反町さんが出るんだから20%を超えるのは当たり前だろう」という空気だったし、『ビーチボーイズ』より視聴率が下がっちゃったら制作側の僕たちの責任なので、一話の視聴率が出るまでは「20切ったらどうしよう…」なんて不安に思ったりして。もう必死でした。
それが初回で26%以上も取っていて(関東・世帯視聴率)。放送の翌朝、視聴率の報告を電話で聞いたときは本当にうれしかったです。
―ヒットした要因は?
反町さんや原作の人気もあるし、反町さんと鬼塚のキャラがはまったのかなと思います。
あと、当時一番大切にしていたのは“スカッと感”。反町さんと脚本家と監督と一緒に“スカッと感”を大事にしようといって毎話作っていました。後から勝手に「ヒットの法則はスカッと感だ」とか言ったりして(笑)。でも本当にそれを目指して必死で作っていました。

当時、番組で視聴者プレゼントを実施していて、はがきで応募いただいていました。そしたらなんとカンテレの倉庫がいっぱいになっちゃって。それは驚きでしたが、はがきなので視聴者の方がいろいろメッセージを添えてくださっていて。
子どもたちからは「うちの学校にこんな先生が来てくれたらうれしい」ということや、先生たちからは「実際には鬼塚みたいな先生はいないけれど、こんな先生になりたい」というようなことを書いてくれていました。それを一枚一枚、読むのがうれしかったです。
放送期間中には教育評論家の先生がGTOについて良いように言及してくださるということもありました。
キャラクター設定が元ヤンキーで暴走族だから、世間に受け入れてもらえるか心配な意見もありましたが、放送と同時に追い風が吹き、視聴率は右肩上がりで。出演者の方もスタッフも大喜びで、撮影現場の空気がノリノリになっていって、それはとてもうれしかったです。

学園ドラマのいいところは、生徒役の若い俳優たちがそのドラマから巣立っていく姿を見られるところですね。スターが生まれることも多いですし、その成長たるや、すごいなって思います。
『GTO』の生徒役の俳優さんたちはみんな仲良かったみたいで、撮影の合間によく遊んでいたって後から聞きました。僕は作るのに必死で、一話の数字がよかったので、欲が出てきて二話以降も絶対面白いものにしなきゃって、毎日毎日脚本打ち合わせをしていたし、なかなか余裕がなくて、みなさんと一緒に過ごす時間が取れなかったです。
―今回の『GTOリバイバル』の企画はどうやって決まったのですか?
2020年の秋くらいに反町さん側から連絡をいただき、「GTOやりませんか」って言っていただいたんです。
当時ヒットした作品だから、ということではなく、「今の子どもたちにGTOを通してメッセージを伝えたい」という思いを反町さんが語ってくださいました。「なぜ今」って思う人も多いでしょうが、「ヒットドラマだからじゃなくって、今の時代や社会に通じるメッセージを伝えることができるドラマだからやりたい」と反町さんがおっしゃったんです。それを聞いて僕も俄然やる意義があると思いました。伝えたいことが視聴者の方に届くように作っていこうって決意しました。

時代を感じさせないんですよね、『GTO』って。残念だけれど、今も学校や家庭に居場所のない子どもたちはいるし、大人も社会も鬱屈している。
だけれども、鬼塚は「学校って友達を作る場だ。学校に行くのが楽しくて仕方がない、そういう所にしようよ」っていうことを常に言っているんですね。
昔も今もいじめの本質は変わらないし、子どもの居場所がなかったり、言いたいことを我慢していたり。でもそこから解放してあげないと、っていう思いを反町さんご自身がお持ちで、改めてそういうことを今言いたいんだという反町さんの考えに強く共感しました。

藤木直人さん演じる冴島に鬼塚が言うセリフの中で、「子どもの時にできた傷は子供の時に治してあげないと。傷ついたまま大人になっちゃいけない」という内容のものがあるんですが、反町さんが僕に教えてくれて生まれてきたセリフなんです。
確かに、子どもの時に受けた傷がトラウマになっている人はいるし、大人になってからその人に声をかけたとしてもトラウマから解放されないのかもと納得しました。
ほかにも反町さんから「こんな言葉を口にしたい」とアイデアを出してくださり、いいなと思ったものはセリフに反映させています。それがドラマの中の随所に出てきます。
―『GTOリバイバル』に思うことは?
過去のドラマで26年後に同じ俳優で同じキャラクターで続編を作るなんて中々出来ることではないと思います。それこそ『GTO』だからできることであって、光栄だなって思います。26年経っても、ドラマとして成立するのは反町さんの魅力と原作の面白さがあってこそ。すごいなって思います。
俳優が変わってリメイクするドラマはあるけれど、同じ人が劇中で同じだけ年を重ねて同じキャラクターでやるドラマってなかなか無いですよね。それにまた、反町さんがかっこいいでしょ。素敵な年の取り方をしていらっしゃる。
当時ドラマを見てくれていた人の期待を裏切らないようにと意識して、反町さんと一緒に作りました。中には親になっている方がいらっしゃるならば、親子で見てもらえたらいいなと思います。
安藤和久(プロデューサー)
1986年関西テレビ入社。『GTO』(1998年)『アットホームダッド』(2004年)『結婚できない男』(2006年)、『アバランチ』(2021年)ほか

『GTOリバイバル』
4月1日(月)午後9時放送(全国ネット) 

公式HP
4/15(月)まで無料見逃し配信中
見逃し配信はこちら(カンテレドーガ)
見逃し配信はこちら(TVer)
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miyoka
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