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敵への罪悪感と好奇心、紘海(北川景子)の娘が行方不明に【あなたを奪ったその日から】

2025.05.26

敵への罪悪感と好奇心、紘海(北川景子)の娘が行方不明に【あなたを奪ったその日から】

『あなたを奪ったその日から』第6話 レビュー(Xの反応)

あなたを奪ったその日から』第6話。鷲尾(水澤紳吾)の告発動画で戸惑うスイッチバックお客様相談室のメンバーたち。紘海が結城と関わるうちに、彼に大きな罪悪感を抱くようになっていたり、望月(筒井道隆)が結城を過信しているあまりにかたくなになっていたりと、記者の砂羽(仁村紗和)と梨々子(平祐奈)の動きを含め、結城と関わる人物の心の動きが印象的な回でした。

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「人の心は万華鏡みたいなもの」と達観した考えで自分を中傷した社員を許す結城を見て感心した紘海。結城とお昼ご飯を共にしたことをきっかけに、距離が縮まるふたり。料理が好きだったり、毎日朝昼晩スーパーの売り場をチェックしていたりと、仕事熱心で、まっすぐな人だと感じ、ますます結城のことが分からなくなってしまいます。紘海がお客様相談室の社員として結城に一目を置く一方で、食品事故の話になると、灯(石原朱馬)の母親としての顔に戻り、憎しみがあらわに。相反するふたつの感情の狭間で揺れ動いている紘海を見て、心が苦しくなってしまいました。

『あなたを奪ったその日から』第6話
結城旭(大森南朋)、中越紘海(北川景子)

そして、結城の口からでた「下の娘も同い年」という言葉。結城が抱える萌子を失った悲しみを察するのには、十分な言葉です。紘海は、結城に同情や尊敬に似た感情を募らせるうちに、罪悪感を抱くようになりました。同時に結城はどんな人物なのか気になっている様子。事件の真相よりも、結城個人を知りたいという思いが強まっているように感じます。

相変わらず行動派の紘海は、結城を古くから知る望月に接触を図ります。望月は、鷲尾からの告発動画や砂羽からの話に惑わされつつも、結城を信じ抜くことにかたくなになっている様子です。食品事故についてジャブを打った紘海に対して「家庭でエビが混入したかもしれない」という望月の言葉には、なんてひどいことを言うのだといきどおってしまいました。事件の被害者としての紘海と旧友として結城を信じたい望月の緊迫したぶつかり合い。普段はとても冷静で、何を言われても落ち着いているのに、大切な人のことになると感情を爆発させる紘海と望月。実は、ふたりは似たもの同士なのかもしれません。

『あなたを奪ったその日から』第6話
東砂羽(仁村紗和)、望月 耕輔(筒井道隆)

美海(一色香澄)を失うわけにはいかない。紘海の強すぎる思いは、逆に悪夢となって紘海を苦しめます。そんな怖い夢を見た後に、美海にある事件が起こります。少し遠くの駅まで電車を見に行った帰りにスマホを置き忘れてしまい、暗くて危なそうな道に迷い込むことに。美海を探しながら、悪夢を思い出してパニックになる紘海の姿を見ていると、こちらまでも胸が詰まってしまいそうです。親身になって美海を探そうとしてくれる結城。それは、紘海が隠しているもうひとつの姿に踏み込んでくる瞬間でもあります。そんな彼に危機感を抱き、紘海はすっとわれに返ります。結城があと数秒で紘海のスマホに映る美海の写真を見るというところで、美海から紘海のスマホに電話がくる場面はこれ以上ないほどドキドキしてしまいました。結城は、10年もの間、何の進展もないのにも関わらず、それでもなお、萌子(美海)を必死に探している誘拐被害者の親です。そして、紘海はその娘を誘拐した犯人……。どんどん膨らんでいく紘海の罪悪感が胸に迫ります。

『あなたを奪ったその日から』第6話
中越美海(一色香澄)

物語終盤では、砂羽と結城が対峙(たいじ)することに。鷲尾の告発動画は砂羽がAIで作ったものだと明らかになりました。砂羽はなぜそこまでするのかも気になるところですが、砂羽が突き止めていた結城から鷲尾への500万円の振り込みの真相。玖村(阿部亮平)が過去に見た口論を踏まえれば、口止め料の可能性が高いですよね。いったいなんのお金なのでしょうか。

『あなたを奪ったその日から』第6話
結城旭(大森南朋)

そして玖村と梨々子の再会。梨々子は、自分がどん底に突き落とした人間がどうなっているのか見てみたいという思いで玖村を呼び出していたようです。梨々子は父も母もゆがんでいるから自分もそうなのだと言いますが、結城のゆがみとは、単純に食品事故のことだけでしょうか。やはり、結城にはまだ見せていない悪人のような一面があるのかと疑ってしまいます。玖村と梨々子の動きも気になるところです。

『あなたを奪ったその日から』第6話
結城梨々子(平祐奈)、玖村毅(阿部亮平)

放送直後のX(旧Twitter)では、「紘海にしろ、梨々子にしろ、結城を憎しみながらも気になってしまう感情がある気がする」「紘海と結城は娘を失った痛みを知っている同士でもあるんだ」など、紘海と結城の複雑な心境に思いを寄せる意見が。紘海と美海、結城家の関係がどうなっていくのかハラハラします。

第6話の最後では、ひょんなことから砂羽と紘海が対面することに。粘り強く事件を追っている砂羽は、もちろん食品事故の被害者としての紘海の顔を覚えていました。この出会いが紘海と美海の生活を脅かすことになってしまうのでしょうか。いよいよ終盤に差し掛かる物語。来週も見逃せません!

『あなたを奪ったその日から』第6話
東砂羽(仁村紗和)、元木愛美(村岡希美)

取材・文:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
miyoka
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