圧巻の映像で魅せる、カンテレの報道カメラマン・樋口耕平「誰でもスマホで撮れる時代、何を伝えたいか問われる」(前編)
◆撮影技法を駆使した、ドキュメントの真髄
京都の木版画工房「竹中木版」の職人・五代目摺師(すりし)の竹中健司さんが、「フランス国立図書館」に眠っていた江戸時代の浮世絵師・喜多川歌麿の幻の版木を復刻するプロジェクトを追った『京の摺師~パリに渡った浮世絵~』。
樋口さんが4Kカメラで密着したそのドキュメンタリー番組は、2015年12月深夜に放送され、『ABU賞審査員賞』や『ニューヨークフェスティバル銅賞』など、国内外で高い評価を獲得。現在も「カンテレNEWS」公式YouTubeにて全編を観ることができます。
【全編配信】パリに眠る幻の「歌麿の美人画」 京の摺師の手で100年の時を超え目を覚ます 世界に散逸した浮世絵の復刻を目指す京都の木版画作家の挑戦 4K撮影|京の摺師〈カンテレ・ドキュメンタリー〉
via www.youtube.com
──ひとつお聞きしたかったのが、石畳から浮上して2階にいる摺師の竹中さんに寄っていく、タイトル明け冒頭のカット。あれはどう撮っているんですか? 逆再生かと思ったんですが、ドローンですか?
あれは、簡単に言うと4人でリレーして撮影しているんです。ドローンじゃなく、ひたすらアナログな手法ですね。放送後、他局のカメラマンが「あれはどう撮ったんですか?」と次々質問に来るくらい、関心を持たれたカットでした。
具体的には、最初僕が路地をローアングルで走りながら撮影して、脚立の上のカメラマン②にカメラをリレー。さらに1階と2階の間の庇(ひさし)にいるカメラマン③が仲介して、最後は2階の窓の内側に隠れているカメラマン④がカメラを受け取って、そのまま竹中さんの正面に回り込むと。
まあ言葉の説明ではわからないですよね(笑)。カメラマンや脚立の見切れがあったりカメラの受け渡しがスムーズにいかなかったりしてリテイク(撮り直し)を相当重ねました。
──あのショットは震えました。
今ならドローンでできるかもしれないですが、あの「人肌感」がいいなって。そこが映像の難しいところで、キレイに撮れていたらいいという訳でもなくて。今観ても「よくこんなことやったな」と思いますね。ワンカットで京都の町屋と竹中さんの紹介を 兼ねたいというアイデアが発端でした。
フランス・パリでも撮影された、ドキュメンタリー『京の摺師 ~パリに渡った浮世絵~』
──全編を通して、ストップモーションやアーク(被写体を周回しながら撮影)など、さまざまな技法で撮られていますが、どのショットも明確な意図と狙いがあって、それが抜群の効果を発揮していることに驚かされました。
『京の摺師』は、初めて4Kで撮った作品だったんですね。浮世絵が題材で、色彩的にも映像の力で表現しやすい部分が多かったので、いろんなことにチャレンジしました。とにかく、人が驚くような映像や何か工夫を凝らした映像を撮りたいと思ってしまうタイプなんです。
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