行ってみよか

まさに天空の散歩道、大阪・関西万博リングは「未来の建築」

2025.04.10

まさに天空の散歩道、大阪・関西万博リングは「未来の建築」
4月13日に開幕する『2025年大阪・関西万博』。9日にはメディア向け内覧会が夢洲(大阪市此花区)でおこなわれ、万博のシンボル「大屋根リング」を設計・監修した会場デザインプロデューサーの建築家・藤本壮介さんが、その意義や見どころを解説しました。

世界最大の木造建築を、世界に発信!

「最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定された、約6万平方メートルの面積を誇る「大屋根リング」。「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表現しつつ、神社仏閣などの建築に用いられてきた伝統的な貫接合に現代を工法を加えて建築されています。「未来の建築として世界に発信していきたい」と藤本さんは意気込みます。
そして、「木造建築に関しては、実は日本は世界に遅れていて、非常にもったいないと思っていました。なぜなら、日本は1,000年以上の木造建築の伝統があります。また、技術も高く、森林資源も豊か。万博というグローバルな機会に、伝統と最先端を組み合わせた世界最大の木造建築を発信するというのは非常に意義深いものがあります」と、その言葉にも力が入ります。

設計の出発点は、「この空には敵わない」

「大屋根リング」の上には全周およそ2kmの遊歩道が設けられており、会場がぐるりと見渡せるだけでなく、大阪や神戸の街、大阪湾がはっきりと望め、天気のいい日には瀬戸内海の水面も見ることができるといいます。草花が植えられた遊歩道周辺は季節によって景色が変わり、地上からはうかがい知れなかった各国パビリオンの凝った意匠も手に取るようにわかります。
なにより驚かされるのは壮大な「空」。遮るものがなにもない頭上には青空が悠々と広がり、この天空は何ものにも代えがたいほど。「初めて夢洲へ来たとき、空がものすごく大きくて、美しかったんです。それを見たとき、どんな会場設計も、この空にはかなわないなと。であれば、空そのものをシンボルにできないかと考えました」と藤本さんが語るのも納得の雅景です。

2kmの遊歩道、実際に歩いてみました

一般的には、だいたい30分ほどで完歩できる2km。地上から高さ約12m(外側約20m)にある遊歩道までは、エレベーター、もしくはエスカレーター、階段で上ることができます。文明の力を使うのもいいですが、できれば階段がオススメです。幾何学的にデザインされた柱と梁(はり)の間をくぐり抜ける階段も、実は隠れたビュースポットだったりするんです。
そして、遊歩道に出ると、各国のパビリオンや玄関口の夢洲駅が眼下に広がります。一本道かと思いきや、ところどころ2本、3本に分かれて、異なる景色に近づくことができます。外の風景を眺めたいなら当然上の道へ、各国の建造物を見たいなら下へ、という具合で散策できます。ひとつ注意したいのは、上の道から下の道への移動は直線的ではないので、意外と歩きます。

「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」の等身大ガンダム(4月9日・大阪・関西万博) (C)創通・サンライズ

途中、エレベーターや階段、トイレ、自動販売機などがあるゾーンがあります。ここも絶景ポイントです。遊歩道から外側に向かうここには、柱が連なるリング内に入ることができ、自治体や民間のパビリオンが間近に迫ってきます。片膝を立てて腕を大きく上げる実物大ガンダム像も、地上からとはまた異なるダイナミズムをもって迎えてくれますよ。

狙いは夕刻、堂々たる落陽の大パノラマ

ダイナミズムに溢れる落陽は、大屋根リングのトピックのひとつ。その荘厳ぶりは関係者の誰もが口を揃えるほどで、この瞬間には多くの人が西側のリングに視線を向けます。神々しいほどまぶしい夕陽が沈みゆくその情景は、さまざまな文化圏から集った人々が同じ景色に思いをはせる、まさに「多様でありながら、ひとつ」という理念を象徴するようなひとときです。

写真ではなかなか伝えきれない「大屋根リング」から見る落陽(4月9日・大阪・関西万博)

光の広場に近い「大屋根リング」(東ゲート側)にはゆるやかな斜面の芝生エリアが設けられていて、藤本さんいわく、「この芝生のエリアだけは、ゴロゴロしながら空を見ていただけます。ここから眺めると、夕陽がリングの端に落ちていきます」とのこと。天気のいい日はぜひ、この芝生エリアもチェックしてみて。
実際、写真を撮ったり、建築物を眺めたりしながらのんびり歩いて、およそ1時間。世界各国のパビリオンやレストラン、人々との交流も万博の醍醐味ですが、この「大屋根リング」散策もプランに組んでおきたいところ。夜間のライトアップでは木造建築が光り輝き、昼間とは違った美しさを垣間見せます。
miyoka
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