裁判の結末も、勝ち負けではなく和解という形に収まったのも、なんだか亮子らしいなと感じました。妄信していた帝東電機に逆風が吹き始めたら、態度を急変して金の無心をする村人やサカミクリーン従業員は、見ていて痛々しい気持ちになります。ようやく謝罪の会見を開いた帝東電機も、実際はこれ以上問題を大きくしないよう手打ちにしたかっただけに過ぎないのです。
亮子によって投げかけられた「あなたにとっての豊かさ、幸せってなんですか?」という問いかけは、ドラマの登場人物だけでなく現代社会を生きる私たちすべてに突き刺さってくる鋭さがありました。世の中の空気に飲み込まれ、流れるように過ごしていては、自分の力で人生を生きることすらできない。
第3話のSNS精子提供問題でも「幸せの形」を問うていましたが、結局人間誰しも、何が本当の幸せで自分の信念なのかを知らないのだと、亮子は憂いていたのです。
本編の途中で描き出されていく、それぞれの人間ドラマもすごく印象的でした。亮子や杉浦の活躍に感化され、一度は諦めた司法試験にもう一度挑戦することを決意し、由紀子(音月桂)に打ち明けた村尾(宇野祥平)。帝東電機側の和解の意思が固まり、祝杯ムードの中久しぶりのオセロに興じる神波親子。そしてラストシーンで、無謀な案件にも果敢に挑戦する亮子に、文句ひとつ言わずについていく杉浦。回を追うごとにたくましくなっていく杉浦の成長も、『モンスター』を語るうえでは欠かせないエッセンスでしたね。ぴょんぴょんと笑顔を浮かべて駆けていく亮子の無邪気さが、心にジンときてしまいました。