先日、テレビ局の友達に「ちょっと会ってやってほしい子がいるんですよ」と頼まれて21歳のKちゃんという女の子に会いました。俳優になりたいそうで、どうやったらなれるのか、食べて行けるのか?というシンプルな相談でしたが、それが一番大変なのよねぇ…と思いつつ、自分の例を語り、今の劇団員がどうやって生活してるかを教えてあげました。
「俳優で食っていけるか?」という質問は永遠に付きまとう課題です。どこに行っても聞かれますし、ほぼ100%の日本人が「俳優では食えないのだろう」と思いながら聞いてくるので「20年辞めなければ、自分一人くらいは食えるようになります。」といつもお応えしてます。
うそではありません。ただし最初の10年はほぼノーギャラだと覚悟してなければなりません。そして結婚、車や家を買う、両親や友達を安心させる。これらのことをすべて諦めれば食えるようになります。石の上にも3年という言葉がありますが、俳優を20年もやってれば、いろんな知り合いが出来て、仕事が回ってくるようになるものです。そこまで体力と気力、お金が持てばの話ですが。
というような話をするとKちゃんは悲しそうな顔つきで「よく考えて頑張ります」と返事をしてました。人生を登山に例えたら俳優になる道のりは最も険しいコースと言えるでしょう。そのため下山する人も絶えませんが、登りがいがあるので諦めずに頑張ってほしいものです。
また別の日に、以前、英語番組の中のアニメドラマの脚本を書いていたのですが、そのプロデューサーだった人が、いまは関西の大学で教授をしていて、「生徒が私に会いたいというので一緒に飲みにいきませんか」と連絡をしてきました。
ということで今度は18歳のKちゃんと、19歳のMちゃんの2人に会うことに。なんとその2人も「俳優になりたいんです」というご相談でした。ひと月の間に3人もの俳優志望の若者に会ったのは初めてかもしれません。昔は俳優になりたいなんて言い出したら大人は止めたものですが、いまは率先して「ゑふさんに聞いてみたらいいよ」なんて言って連れて来るのですから時代もだいぶ文化に優しくなったものです。
ということでその2人にも同じことを説明しました。こちらはひるむこともなく「20年勉強します」とキラキラして応えてくれました。「勉強は一生続くんやで、20年では終わらんのが演劇やからね」と釘はさしておきましたが、彼女たちも険しい山を登っていくのでしょうか。
彼女たちにもうひとつ大切なことを教えておきました。日本では大きな舞台に出たり、テレビドラマや映画に出たりすることが「成功」であり、山のてっぺんだと思われがちですが、実際にはそうではありません。ヨーロッパや、お隣の韓国などでは、あくまでも小劇場の緻密な芝居に出ることが最高の名誉とされています。目の前にいる俳優が別の人間に成りきって演技をするスリリングな体験は小さい劇場でしか味わえないものであり、俳優にとって最も自分を試される空間です。
目の前の人間を感動させることが出来るか否か、それが山頂にある宝物なのです。つまり演劇界における成功とはお金でも名声でもないということでしょうか。
さて、今日は「おにぎりピラフ」をご紹介したいと思います。忙しい時、軽めに食べておきたい時にお薦めなのがコンビニのおにぎりを使った簡単焼きめしです。
コンビニのおにぎりを使った【おにぎりピラフ】
(材料)
・コンビニのおにぎり1個
・白菜キムチ適量
・ベーコン少々
・コチュジャン少々
(ポイント&作り方)
コンビニのおにぎりは普段から買って冷凍しておくと便利です。
今回は「焼肉のタレまぶし」という関西ならではのおにぎりを使用しました。
ちなみに解凍するときは200Wで2分、600Wで1分の順番でするとお米がふっくらしたまま解凍できます。
①フライパンに油を少々入れてあたため、今回は冷蔵庫にベーコンがあったので少し炒めました。
そこにおにぎりをほぐして入れ一緒に炒めてください。どちらも下味が付いてるので調味料はいりません。
②キムチを入れて、一緒に炒めます。お好みでコチュジャンを少し入れてもおいしいです。
わかぎ ゑふ(劇作家・演出家)大阪府出身。
関西小劇場界の老舗劇団、「リリパットアーミーII」2代目座長。
芝居制作処、玉造小劇店の代表。
大阪弁のオリジナル人情劇を数多く手掛けている。古典への造詣の深さも有名で
落語、歌舞伎、新作狂言の作、演出や衣裳デザインなども手掛ける。
小劇場から大劇場まで縦横無尽に活躍する数少ない女性演出家の一人。
エッセイも多数出版。2023年には大阪市民表彰を受賞した。