演劇の仕事をしてると、いろんな依頼が舞い込んできます。普通に脚本を書いてほしいとか、演出を依頼されるのはありがたいのですが…。
先日も「今の大阪って元気ないでしょう、私はもっと元気だったころの大大阪時代みたいな活気をとりもどしたいんです」というオバサマにお会いしました。
ちなみに大阪が「大大阪」と呼ばれ、日本一の人口を誇り、東洋のマンチェスターなんて言われて繁栄してたのは百年ほど前です。取り戻すって言われても、誰が?どうやって?みたいな切り口でした。
よくよく話を聞くとYさんというその方は、演劇を通じて大阪の150年を描き、昔のように元気な大阪に戻るメッセージを伝えたいということをおっしゃっていました。「なるほど。で、脚本を書けというご依頼ですね?」と聞くと「はい、ぜひ大阪の150年をぎゅっと詰め込んだ、いい話を書いてください」というお答え。「はぁ、それで、どんな切り口で書けばいいんでしょうか?」「どんな話がいいと思います?」「えっと…企画なさった意図は何ですか?」「やりたいんです芝居!」まぁこんなやり取りがあり、なんでも趣味でお芝居やってらっしゃって、初めて企画もするそうです。
おまけにご自身はフラメンコのダンサーでもあり、その芝居にぜひ踊りも入れて欲しいという話が展開していきました。私は内心「出た!自分のやりたいことを全部入れ込んでくる依頼人」と思いましたが、ともかく最後まで話を聞くことにしました。
結果としては、①大阪人なので大阪の過去から未来につながるいい話を脚本にして欲しい。朝ドラみたいな展開がいい。②その芝居には自分も出たい。③フラメンコが踊りたい。④スペイン人の旦那さんに振付と出演もしてもらいたい。⑤オーディションをして若い学生さんたちにも出演してもらい盛り上がりたい。⑥大阪出身の有名人をゲストに出してチケット売り上げの販売促進につなげたい。と言う条件で脚本を書けというお話でした。
「言いたい放題やな、このオバサン」と心の中でつぶやきましたが、お受けすることになりました。一応「条件を全部はクリアできるか分かりませんよ」とは言いましたが、なかなかの数のハードルです。
そして「大阪を再発見したい」というお気持ちからブレーンを呼んでこられていて、先日その方々にもお会いしました。大阪の歴史を研究してらっしゃる方がお2人。脚本を書くときに何かとチェックして下さるとのことで、ありがたいやら、邪魔くさいやら…失礼しました、ちょっと本音が…。今後は何かと意見交換の場が設けられるとのことでした。
Yさんはとても情熱的で、舞台をやりたいという意気込みは熱いものがあるのですが、私が脚本を書きあげるためには、クリアしなければならないことが山積しているようです。もちろん乗り掛かった船なので最後までお付き合いするつもりですが、波瀾万丈(はらんばんじょう)間違いなしの船出になりそうなので、気を引きしめて取り掛かりたいと思っています。まずは大阪の150年の歴史から勉強しなおさないと!
さて、春から一気に初夏に突入しそうな気配の気温になってきましたね。春と秋がめちゃくちゃ短くなって四季の国とはいえ、体調の管理も大変です。今回は副菜をご紹介します。
副菜と言うと大げさですが、ひとつは「白ナスのバター焼き」関西ではあまり白ナスを食べませんが、輪切りにしてバターで炒めたらとてもおいしいので、ぜひやってみてください。
それから私の愛してやまない小松菜のおひたし!葉野菜の中でもゆでてもシャキシャキ感が残ってて和、洋、中どれでもあうので、私のゆで方をご紹介します。
【白ナスのバター焼き】
(材料)
・白ナス1本~2本
・バター適量
・塩少々
(作り方)
①白ナスはヘタをとって輪切りにする。
②フライパンでバターを熱して(焦げ付きやすいので少しオリーブオイルを入れてもいいです)白ナスを並べて塩をふり中火で3~4分ほど焼く。様子を見てひっくり返し、弱火でさらに2~3分ほど焼く。
③お好みでかつお節をかけてしょうゆを少し垂らすのもおいしいです。
【小松菜のおひたし】
(材料)
・小松菜
(作り方)
①小松菜を洗って茎の部分と、葉の部分に切り分ける。根っこの部分は土がついてる場合があるので立て切りにしてよく洗う。
②沸騰したお湯に塩少々を入れて、切り分けた茎の部分を入れ色が鮮やかになったら、葉の方を入れお箸でお湯にしっかりくくらせたら、すぐに火を止める。20秒ほど置いてざるに移してお湯を切る。
★我が家流の葉野菜のおひたしの作り方です。葉を入れたらすぐに火を止めてください。早くない?と思うくらいでも大丈夫です。作っておくとパスタのトッピングや、ラーメンの具にもなるのでとっても便利です。冷蔵庫で3日~4日は十分持ちます。
わかぎ ゑふ(劇作家・演出家)大阪府出身。
関西小劇場界の老舗劇団、「リリパットアーミーII」2代目座長。
芝居制作処、玉造小劇店の代表。
大阪弁のオリジナル人情劇を数多く手掛けている。古典への造詣の深さも有名で
落語、歌舞伎、新作狂言の作、演出や衣裳デザインなども手掛ける。
小劇場から大劇場まで縦横無尽に活躍する数少ない女性演出家の一人。
エッセイも多数出版。2023年には大阪市民表彰を受賞した。